都ばなし 2
丑の刻参り
平等院鳳凰堂を建てた藤原頼道は、隆姫という正室がありながら、自らの出世のために三条天皇の二の宮を迎えようとする。それを知った隆姫の乳母が事の次第を貴船の神に訴えると、頼道は明日をも知れぬ病に臥した。
これは史実に基づく「栄華物語」に載っている箪です。謡曲、鉄輪では捨てられた妻が貴船神社に鉄輪(五徳)の足に蝋燭を灯し頭に載せ手には藁人形を持ち丑の刻参りをします。
また、つれなくなった夫を取り戻そうと和泉式部が貴船に詣でたとか、貴船の神様は不誠実な男を恨む女性の味方です。
こんな神様を教えたくないのですが…貴船神社は京福鞍馬線貴船口より北へ二キロ、夏には川床をだす料理店が軒を連ねます。
五右衛門
「絶景かな絶景かな。春の眺めはあたい千金とは小さなたとえ、この五右衛門が目からは万両…」と南禅寺山門の桜閣に石川五右衛門が春の夕暮れをめでる。そこへ豊臣秀吉がとおりかかり、明智光秀に育てられた五右衛門はこれを仇と手裏剣を打つ。これが歌舞伎桜門五三桐の一場面です。
実在の五右衛門は伊賀上野の産まれで、忍者の頭領百地三太夫の弟子でしたが、不義密通のすえ追放され京都で盗賊となりました。秀吉は前田玄以に命じ一味を捕らえ、鴨の河原で五右衛門と一子一郎を油のはった釜に入れ煮殺し、母親と手下二十人は釜の傍で礫の刑に処しました。
「石川や浜の真砂子は尽きるもと、世に盗人の種は尽きまじ」と辞世を詠んだそうです。
安倍晴明
摂津の武士である安倍保名は信太の森の白狐を助ける。恩を感じた狐は保名の恋人、過葛の葉姫に化け、仕え契って一子をもうける。霊力を受け継いだ童子は成長し清明と名乗る。これが陰陽道の安倍晴明の誕生箪です。
清明は、平安時代としては異常現象であった日食月食彗星の出現を天の意思の表れと考え、吉凶を占ったり天下国家の大事を予測しました。花山天皇の前世は行者であったと見抜き、野晒になっていた行者の骸骨を祀らせて、天皇の頭痛を治した。など多くの奇跡が伝えられています。
清明を祀る清明神社は上京区一乗寺戻橋近くにあり、呪符は☆印です。境内には清明が念力で湧出させた清明水があり、飲むと難病が治るそうです。
幽霊飴
鳥辺野とは清水寺西南の丘陵地帯で、奈良時代にはすでに京都の葬送の地となっており、最奥には秀吉の墓陵があります。この鳥辺野と京の町が接するところを、六道の辻と言い珍皇寺があります。遺族は寺に屍を運び僧に引導を渡してもらい、鳥辺野に葬りました。
昔、この辺りに飴屋がありました。夜毎女が通ってきて飴を買いました。不思議に思い後を付けると。鳥辺野の墓に消えました。微かに泣声がし、その墓を掘り返すと、若い女の屍の上で赤ん坊が飴をしゃぶっていました。
幽霊が子供を育てた飴は「幽霊飴」と呼ばれ、今でも八月七日から十日に珍皇寺で行われる、御精霊さんを迎える六道参りの間寺の傍で売られています。
「恋占い石」「懐石料理」
「焼嗅」「百夜通い」 最初の「都ばなしへ」
アクセス
京都府京都市東山区清水寺門前清水2丁目 TEL:075-541-7111
営業時間 : 10:30~17:00(L.O.)18:00(閉店)
※現在の観光状況により、時間を短縮して営業している場合がございます。お電話にてご確認ください。